大盛況

 昨夜行われたthe Brown Mountainのライブは大盛況のうちに終わった。「とにかく今までで最高の入りだ!!」と語ったのは出番を終えた直後のTim。オープン直後にはまばらだった会場に次々と客が押し寄せ、その数がピークを迎えたときには市街地のビルにある1フロアの空間は少し広くなった印象さえあった。そして予想以上に客が押し寄せた為、スタート時間が10分遅らされ、19:10に幕が落とされることとなった。これが昨日のセットリストである。
1.Under the Sun
2.Dorp the Ancher
3.Da Poker*
4.Eyes of Ruby*
5.Free Tempo*
6.Ordinary
7.demo A*
8.Summer Time Driver
9.the Street
10.Golden Time
 昨日は各バンド共に持ち時間が60分と、比較的ゆったりとしたスケジュールであった。そこに彼らは10曲を用意し、またそのうち4曲(*印があるもの)が新曲であった。まず先手を取ったのはTimであった。1曲目はUnder the Sun、去年のHATHI HAATHIで披露されてから全く話題に上がらなかった彼らなりの反戦歌である。アレンジの大部分を削り、ほとんどがTimの弾き語りとなったこの曲はオリジナルキーから少しばかり転調することで、パーティーの余興を飾る役割を勝ち取った。そう、これは完全なる余興。本編の幕開けはには碇を下ろす必要がある。Timがその最後のコードを鳴らすと、一気に時間が走り出す。前回のライブから約10ヶ月、音源のリリースから5ヶ月という無計画に遅らせれていた時間が巻き戻されていく。そんなドラムのカウントで鳴らされた定番のメロディー、Drop the Ancher。「あなたに従えるしそうしようと思う」と口では言うが、「碇を下ろせ」というこのメッセージは明らかに聞き手に向けられたものである。そうして多くの人が立ち止まり、彼らに耳を傾けた。
 the Brown Mountainの持つ欠点の1つがMCである。ライブにおける曲と曲の間の微妙な時間、彼らはその活用法を未だに獲得できていない。この事実は昨日のショウでも顕著でに表れ、そんなガチガチの間を置いていよいよ新曲群が披露される事となった。特徴的なギターカッティングが全員着席のバーには不似合いな縦ノリを作り出したDa Poker、ワン・ツーの掛け声でスウィングするEyes of Ruby、そのどちらもが音源Mash for Pigsにありそうでなかったブラマン節を体現していた。また、Free Tempoではニューウェーブばりのドラムイントロからしてこれまでになかった切り口。Bradの新曲は都会的であり、新鮮な感触だ。
 そうこうしているうちに、前列の連中が「知ってる曲をやれ!!」という顔をしている事に気付いたTimは「お馴染みのヤツを…」と、Ordinaryへ。まずまずのリアクションを得た後、問題の新曲demo Aの番である。このdemo Aというのは仮題であり、本当のところは曲名も決定していない。「本当は演らないでおこうと思ったけど、やってよかった。」と作曲者のTimが言うように、この曲は多くの部分で不安があったそう。しかし、そんな懸念とは裏腹に観客からは暖かい拍手が送られ、このショウのハイライトの1つとなった。
 そして、終盤にかかり残すところBradの曲が2つ、Timの曲が1つとなる。Bradの2曲はもはやライブでも定番であり、メンバーにも余裕が見られる。特にthe Streetではすでに長年演奏された曲のようであった。そして時計20時近くを指し、我々のGolden Timeがやってきた。音源でも最後に収録されていたこの曲は、持ち前のゆるいグルーヴに加えタイトさも備えた感がある。これも新ドラマーCharuのなせる業なのだろか!?
 10曲も用意されていたセットが淡々と消化され、本当に早い1時間であった。しかし、メンバーの顔には、そんな余韻に浸るよりもむしろ、ショウへの満足感と次のライブへの期待が同居していた。