総集編

 お気づきの方もいるかと思うが、当Blogは今月3日をもって一周年を迎えている。そこで、今月は総集編と銘打ってこの一年間にBlogに書かれた記事なり企画なりを穿り返してみる事とする。さしあたり、その第一弾は毎月はじめに発表されるdisk of the monthについてである。disk of the monthの正式なスタートは2004年9月であるが、実は記事の存在しない幻のゼロ番目が存在している。というのもページの左に表示される紹介枠はBlog発足当初から存在しており、去年の8月にはここでSublimeの40oz to freedamを紹介していたのである。だがこれに関する紹介記事は存在しておらず、企画も立っていなかったため、今回はそれを省いた今月までの12枚をまとめて紹介する。
2004.09.

Libertines

Libertines

記念すべき第一弾。リバティーンズ革命。しかしこのアルバムを残してバンドは活動休止、メンバーの状況を考えるとむしろ解散状態に近い!?問題の張本人ピートはリバそっちのけでBaby Shamblesなるバンドを結成。本国イギリスではライブも行われているそう。シングル曲を聴く限りでは、なかなかの出来!!こちらは10月にアルバムが届くので乞うご期待。
2004.10.
ザ・ストレンジエスト・シングス

ザ・ストレンジエスト・シングス

最近新しいアルバムが発売されたLongwave。音源の方は未聴だが、それに伴うインタビューで彼らは、前作つまりこのthe strange thingsに対して、全体としてのっぺりとしたダイナミズムに欠ける作品であると評価した。この発言は新作の自信による裏返しなのか?はたまた本当に彼らが気に入っていなかったのか?真意の程は分からないが、私などはこのアルバムで多用されていた空間に響き渡るギターを中心とするバンドアンサンブルなどは、去年から徐々に火がつき今年完全に開花したBloc Party等を中心とするニューウェーブ勢、しかもよりアート的な要素を持つバンドが必死に鳴らしている音なのではないだろうかと思ってしまう。勿論全く先鋭的な手法ではない。レディオヘッドマニックスなんかもすでにやっていたことである。しかしこのタイミングで、それもNYのバンドが再度それにチャレンジしたという事は、ガレージ勢にけるストロークスとなんとも似た現象にも思える。
2004.11.
Meltdown (Bonus CD)

Meltdown (Bonus CD)

ここに来てキャリア中最もヘヴィーなアルバムを作り上げたAsh。しかもそれが待ったく重苦しくなく、逆に爽やかさまで感じる。これはやはり、10代の頃から思春期におけるメランコリックと現実との葛藤を歌ってきた彼らだから成しえたことだろう。先日の一夜限りの来日公演も大盛況に終わり、これからはじっくりと時間をかけて曲作りレコーディングに入るそう。まだまだ化けるのか!?
2004.12.
ニルヴァーナ・ボックス

ニルヴァーナ・ボックス

関係者間のドタバタ利権争いの末、やっと発売された本編集盤。果たしてどれくらいの人が耳にしたのだろうか?本作はいわゆるお蔵入り作品を寄せ集めたものであるが、これが発売に至ったということが意味するものはバンドとは無関係の次元に存在する。つまりグランジが本当に終わったという宣言なのである。そしてやはりこの作品は関係者への利益しか生まなかった。つまり、魂でありライフスタイルでありファッションであったグランジという1つの文化が現在においては商品として消費されるようになったという事である。一時代を築いたあのNIRVANAのレア音源なのだから当然売れたであろう。しかし、それを聞いた人は何人いるのだろうか?まさにブームを作り上げたバンドによる作品がこれで全部発表されたことになるが、これは「これ以上グランジには作品を発表する事が出来ない」ことを意味しており、同時にグランジが音楽の商品化という結末を迎えたという事なのである。
2005.01.
ベン・フォールズ・ファイヴ

ベン・フォールズ・ファイヴ

お帰りなさいBen。今年の5月に彼のソロ最新作が発表され、ファンにとっては良い年となった。内容も悪くなく、これまでのソロの中では一番Ben Folds Five期の音に近いとも言われている。セールス的にも悪くない。そう全てにおいて悪くないのである。私がこのような感想を抱くのもやはりこのアルバムがすでに存在しているからだろう。それほどまで大きな存在感を持ったアルバム。このアルバムを「悪くない」で片付けようとする奴はクズだ!!
2005.02.
サブスタンス

サブスタンス

フジ05でのヘッドライナー。観たかったなぁ。今年の私はマシンビートに始まったといっても過言ではない。あの運動神経皆無のバスドラを聞くために時間も体力も使った。周辺のお勉強もした。これには昨今のニューウェーブリヴァイバルも少なからず作用しているが、その中で1つ分かったことがある。それは今年最大のリヴァイバリストは彼らNew Orderであるということである。3月に到着したニューアルバム。そこで鳴らされていたのはやはりNew Orderであった。このSubstanceを聞けばはっきりとそれが分かるだろう。新しい手法や試みはほとんどない。それよりも歳をくったオヤジ達が若き日の自分達を必死に回想して作り上げたという感触がある。そしてこの方程式は本作SubstanceにおけるJoy Divisionとの関係にも見られる。つまり、New Orderとはキャリアを通して常に昔の自分達を追い求めているバンドなのである。それが四半世紀以上も現役であり続けるための秘訣であり、彼らの処世術なのではなかろうか?
2005.03.
アメリカン・イディオット

アメリカン・イディオット

単純に売れましたね。
2005.04.
天使のため息

天使のため息

今巷でグラスゴーといえばフランツなのだろうが、私は声を大にしてベルセバと言おう。New Orderの項にあるように、今年はマシンビートに凝った年であると同時に、よりナチュラルなロックにも興味を持った年でもあった。その中でもハイライトなのがこのベルセバ。うるさいぐらいにベルセバと豪語したおかげで、私の周りにもベルセバファンが急増。シンプルであるがゆえにより心にしみるその音は、やはり普遍的に鳴らされなければならない。そのためには常にマイペースな活動が必要になる。しかし、それを実行できたのは、何が自分に必要なのかを見極めるための「審美眼」が彼らに備わっていたからなのだろう。つまりマイペースを装おうという事は、実は驚くほど戦略的な思考を必要とするということなのだ。
2005.05.
サイアミーズ・ドリーム

サイアミーズ・ドリーム

私はスマパングランジはまったく別にして考えている。NIRVANAは終わったが、スマパンは終わらない。そう、復活するのだ!!これは今年の5月にビリーのソロ作品が発売されたときに打たれた新聞広告の内容が示している通りである。つまり、ビリーにはもう一度スマパンを復活させたいという気持ちがあり、そのための準備が現在行われているのである。待とう。いつまでも。スマパンにはその価値がある。
2005.06.
ディーモン・デイズ (CCCD)

ディーモン・デイズ (CCCD)

先日世界各地で開催されたLive8にデーモン・アルバーンの姿はなかった。何でも「出演者に黒人アーティストが少ない」とケチをつけたらしい。確かにゴリラーズの2ndである今作には、黒人アーティストが多く参加している。というか白人が関与している割合が低い。しかし、その血が薄まりすぎるというのもどうかと思う。雑食は結構。そのスタンスは賞賛に値する。だが、それを主張しすぎるのは、周りに尻軽のイメージをもたれてしまうことにもなる。あなたの事をすでに分かっている人にはそんな事ないと思うが、これから理解しようとする人を説得するためには、一本スジが通っていた方がいいのでは?その辺の事をデーモンに聞いてみたい。
2005.07.
Haunted Cities

Haunted Cities

Gorillaz同様、これはRANCIDのティムによるサイドプロジェクトであるが、あまりにその触手が多岐に伸びていて、何を信用すれば良いのか判断しかねる。ただし、これは疑問であり批判ではない。私がGorillazTransplantsに対してこういった疑問を抱くのは、各バンドの作品の質がとても高く、どれもが魅力的であるからこその迷いである。どんな音楽も貪欲にインプットしていくそのスタンスや、そうしてアウトプットされた作品がすばらしいからこそ、この人たちは一体何をやろうとしているのかという疑問が残る。
2005.08.
Blow in the Wind

Blow in the Wind

何をやりたいのかがもっとも明確なバンドが、Me First and The Gimme Gimmesである。彼らは名曲をカラオケで歌えればそれで充分なのだろう。しかし、それは全く賢い選択であり、もっとも分かりやすい意思表示である。なぜならそれは、音楽の根本的な部分である、楽しむ事が否応無しに伝わってくるからである。先日のサマーソニックでの貫禄あるステージにもそれは如実に現れていた。迷いのないその姿勢が、雑多な現在の音楽シーンには本当に必要で頼もしいものなのだと思う。