ロックンロール・リバイバルを考える

Brown_Mountain2004-12-12

 「ロックは死んだ!!」これは間違いなく、90年代の音楽シーンにおける合言葉である。しかし、90年代はとっくに終わった。じゃあ今はどうなってんの?その答えは
「ロックがきてる!!」
である。ルネッサンスという言葉は皆さんご存知かと思うが、それと同じような現象が現代のロック、音楽シーンに起こっている。つまり温故知新。Hip-Hopやレゲエ勢に押されっぱなしだったロックが反撃ののろしをあげた。古きロックの遺産に、今風のアイデアやアティチュードを持ち込んだ、それがロックンロール・リバイバルである。
 事の発端は2000年問題も落ち着いたアメリカ。デトロイト出身の姉弟White Stripes(写真)、そしてNYからはthe Strokesと相次いでガレージ志向のバンドが登場するという事件である。彼らは共に、本国よりも先にイギリスで脚光を浴び、逆輸入という形でアメリカを制覇したということで知られているが、この2バンドの功績により、メディアはいっせいにガレージロックに注目し始める。そんな折、オーストラリアのthe Vinesが頭角を現しJetの衝撃的なデビュー、イギリスにはthe Libertinesthe Coralそしてthe Music、北欧からはthe HivesMando Diaoなど次々にリバイバルの担い手が登場することとなる。
 極めつけは昨年末から今年にかけての英国産ロックの復権Razorlightthe Ordinary BoysFranz FerdinandからKASABIANにいたるまで怒涛のごとくその存在感を世界に知らしめたブリティッシュ軍団。彼らの音楽はそれぞれに違った背景を持つものの、一貫したバンドスタイルの音楽という視点においては共通している。もうちょっと詳しく見ていくと…
正統派の英国式ロックの継承者
the Libertines
the Ordinary Boys
Razorlight
よりサイケに、貪欲に過去の産物に焦点を当てた『古くさロック』
the Coral
the Zutons
the Bandits
ロックの未来系
the Music
Franz Ferdinand
KASABIAN
という具合だろうか。とにかくロックと一口に言っても、内容が実に多様である事がロックンロール・リバイバルの特徴である。また、この波を受けてポストパンク・ニューウェーブ系も活気付いている。カナダのHot Hot HeatやNYのRapture、YEAR YEAR YEARSなどの活躍がその証拠である。
 このように、新しい世紀のはじめに突如起こったロックンロール・リバイバルは他の周辺のジャンルを巻き込み、音楽シーンをどんどん活性化させている。現在は、その波も徐々に落ち着き、ブームの恩恵を受けたバンドにとっては、来年以降2作目や3作目の発売というある意味正念場といえる時期に突入する。これだけ多くのバンドがいっせいにデビューしたので、状況はシビアなものであること必至。しかし、シビアな状況なものであればあるほど、本当にいいものだけが生き残るハズである。そう考えると、私は楽しみで仕方ない。